クリエイターズコラム
人生の転機
こんにちは!ディレクターの柳澤です。 突然ですが、2020年1月15日が何の日か分かりますか? これは、日本で初めて新型コロナウイルスの感染者が出た日だそうです。 それからほどなくして目まぐるしく日常が変化しました。 当時の私は、高校2年生でした。突然部活ができなくなり、困惑したのを今でも覚えています。 ぱったりとやることがなくなりました。勉強嫌いだった私にはとても苦痛な期間でした。 そんなある日。友人の一人がSNSでゲーム実況の動画投稿を始めたいと言い出しました。 なぜか彼は、何の知識もない私に動画サムネイル画像の作成を頼んできました。 特に理由はなかったようですが。 初めて作った「それ」は、画像や文字を配置しただけのつたないものでした。 それでも彼は大いに喜んでくれました。彼の感謝の言葉が私のデザインの原点になりました。 ここから私は見様見まねでサムネイルを作りました。 狂ったように没頭し、他のゲーム実況者からも依頼が来るようになりました。 作ったサムネイル画像は一年半で1000枚を超え、 どんなサムネイルだと再生数を上げられるかなど、 思考を巡らせながらデザインにのめりこむ自分がいました。 受験期に差し掛かっていた私は導かれるようにデザイン専門学校に入学し、商業デザインの道に足を踏み入れました。 最近、ふと思うのは、あのきっかけが無ければ私はどんな仕事をしていただろうということです。 たくさんの悲劇を生んだ新型コロナウイルス。 しかし、良くも悪くも、私にとっては人生の転機になったように思います。 これからもたくさんの転機を迎えることになりそうですが、先のことは誰にもわからないわけで。   皆さんは、「人生の転機は?」という質問に対する答えを持っていますか?   23年という人生の中で、デザインと出会えたこと。向き合える環境がある今を私は幸せに思います。 立場は変わりヘルメスのディレクターとなりましたが、お客様のためになる提案を日々模索しています。 誰かの日常に寄り添うデザインを目指して!...
偶然と余白
もう長いこと、新しいペンケースを探しています。 スケッチ用のボールペンと、シャーペンと消しゴム、 欲を言うなら替え芯も入るぐらいの、やや小さなものを。 数年使っていたものが壊れてからというもの、 僕の筆記用具たちは薄手のバッグインバッグの中で ガチャガチャとやかましく幅を利かせ続けています。 早く買えよとお思いでしょうが、変なこだわりがあるのでそうもいきません。 ただ、僕はこの不便な状況を、生活する上での2つの考えの下、 そこそこ楽しく受け入れていれています。 そんなお話です。 1.偶然とか巡り合わせなんかを信じてみる 平たく言えば運命ってやつです。 素敵なものに出会うことは決まっていて、そこまでは全て前振り。 偶然や何気ない気づきが、自分だけのものに出会うための布石です。 少し肩の力が抜ける気がしませんか? ハンドメイド雑貨が並ぶマーケットに行った日も収穫は無かったですが、 「出会わないということはそういうことよ」と、気楽なものです。 なんならそこまで本気で探していなかったりもしますが。 ミスや空振りが続いてもなんてことはありません。 今日もだめだった、とは思わずに、溜めが長いね、と楽観的に。 自分らしいものは思いがけず転がり込んでくるもの。 物事を都合よく捉えましょう。 2.余白や間を楽しむ デザインっぽい言葉だと思って身構えないで大丈夫です。 無駄に思えるものがあるからこそ感じられる良さがある、ということです。 友人と港町に行き、美味しい魚を食べる会を開いた時のこと。 1時間に1本しかない帰りのバスに乗り損ねた僕たちは、 その待ち時間で海辺のスケッチをすることにしました。 目的であったはずの魚の味よりも、 余白の中で生まれたことがその日の一番の思い出になったのです。 今の僕は、「ペンケースが見つからない」という余白のおかげで、 出先で文具店を見つけるたびにわくわくできているのでしょう。 日々の余白や間を見つけても、無理に埋めずに、 そのままにしておくことで生まれる楽しさがあるかもしれません。   私たちはしばしば「必然性」や「足すこと」で表現しようとしますが、 思いもよらない豊かさは「巡り合わせ」や「引くこと」の中にあるのかもしれません。 ロジックの半歩先でオリジナリティが見つかる。 なにもない部分があるから、意図や想いを感じられる。 その結果、心地よく、長く愛せるものに出会えるのだと思います。 前のめりになりすぎず、ゆるっと楽しんでいきましょう。...
香りから見えるもの
こんにちは。デザイナーの宮坂です。 みなさんは、生活の中で「香り」を楽しんでいますか? 柔軟剤、ディフューザー、香水、お香など生活に根ざす香りのプロダクトは多種多様です。 数年前、ふらっと立ち寄った雑貨屋で「お香」に出会ってから、 僕の生活の楽しみの一つになりました。 お香と言っても、いわゆるお線香のような香りをベースにした和テイストのものから、 海外で親しまれているエキゾチックなものまで様々。 さらにその中で気持ちをリラックスさせるような甘い香りもあれば、 気持ちをスッキリさせるスパイシーな香りもあります。 様々な香りを試してきましたが、 安心感を覚える和テイストの香りに落ち着きました。 仕事帰り、家のドアを開けて、お香の香りを感じるとすごくほっとします。 真っ暗で視覚的情報がなくても自分だけの空間であることを感じるのです。 その安心感に結びつく原体験とは、 学生時代の帰り道にあるお寺の境内の香りや、祖父母の家で仏壇に供えたお線香の香り。 離れた地元の空気感での体験や、居心地のいい場所での体験が その香りを通して安心感を形づくっているのだと思いました。 「過去の経験が嗅覚や香りを通して、自分だけの価値ある空間をカタチ作る。」 これは、私たちのクリエイティブに繋がっていると思いました。 「おいしい、安心する」といった商品体験を パッケージデザインやグラフィックデザインを通して視覚化し、 唯一無二の付加価値を与える。 消費者のする体験に価値を持ってもらえるか。 その体験の価値をどう伝えたら良いのか。 商品やブランドに寄り添いながら、 体験を価値に変えることができるよう デザイナーとして直向きに取り組んでいきます。...
「推し活」とデザイン
近年よく耳にするようになった「推し活」というワード。 みなさんはご存知ですか? 私は2次元と2.5次元のオタクで、 日々を推しと共におもしろおかしく生きています。 今回のコラムでは、「推し活」を通して、 近年のクリエイティブの変化について考えていきたいと思います。     01.「推し活」とは まずはじめに、「推し活」とは、自分の「推し」と呼ばれる好きな人や物事を愛で、 様々な形で応援する活動のことを指します。 「推し」の対象は、例えば、アイドルや歌手、俳優、スポーツ選手、アニメや漫画などのキャラクター、 鉄道や車、建築物、刀剣などの物に至るまで人それぞれ。 その人が好きで応援するもの全てが対象となります。 一昔前までは、オタク活動としてアングラなイメージが強かった印象ですが、 時の流れと共にそのイメージも変化。 多様性を重要視する社会になってきたこともあり、 堂々と趣味として公言する人も増え、文化の拡大に繋がりました。 今では「推し活」というワードが文化の垣根を超えて認知度が高まり、 幅広い企業のPRにも使用されるように。 そういった人々をターゲットにしたマーケティングも増えました。 今平成で流行ったものがリバイバルし、 グッズや期間限定のショップ・カフェで展開されているのがいい例ですね。 多くの企業が「推し活」の経済効果に大きな期待を寄せていると言っていいでしょう。     02.「推し活」ってどんなことをするの? では、実際に「推し活」とはどのようなことをしていると思いますか? 具体的にこれ!といった決まりがあるわけではなく、 それぞれが自由に自分の“好き”を追求しながら楽しく活動しているため正解はありません。 同じ行動をしていても、楽しみ方はその人次第。 全く同じにはならないのが面白いところです。 私はよくグッズを買ったり、 推しのぬいぐるみやアクリルスタンドを連れてライブや舞台に行ったり、 コラボイベントに行ったり、推しの配信映像を見たりなどなどしています。 同じ「推し」を通して、社会人になってからも新しい友達ができる機会があることは、 自分の視野を広げる意味でもありがたいですね。     03.デザインの必要性 さて、話をデザインと結びつけると、 私は「推し活」と「デザイン」は切り離しては考えられないものだと思っています。 「推し活」のみならず、他にも当てはまることではありますが、 世の中にあるものはすべて「デザイン」されたものです。 生活にデザインが伴っていることが当たり前の社会で、 興味を持って「推す」まで到達するには、 相応の魅力的な「デザイン」が必要になると考えるからです。 例えば、アイドルや俳優、スポーツ選手など様々な推す対象がいますが、 そのどれもにデザインが付随しています。 衣装やヘアメイク、ユニフォーム、舞台演出、円盤のパッケージやグッズなどなど、 それぞれに合わせたデザインで付加価値をつけているのです。 2次元のキャラクターや、鉄道や建築物などの物は、 まずそれ自体がデザインの対象になっていますね。     04.求められるデザインとは? 推し活の“グッズ”に話を絞ると、 最近は手軽に絵が描ける無料アプリなどが普及したことで、 ファンが絵を描く・デザインすることが、昔に比べてより簡単にできるようになっています。 さらに、まだ様々な課題はあるものの、AIの進化によりハイクオリティな制作物が すぐに出力できるようになってきました。 100円ショップなどでも推し活グッズと称して、 簡単にオリジナルのグッズが作れるような商品が売られるようになっています。 SNSが普及し、リアルタイムで情報を共有し合えることで、 自分の推し以外の推し活情報まで簡単に手に入るようになった世の中で、 求められるデザインとは一体なんでしょうか? デザインは、より洗練されたものが求められるようになりました。 「推し活」がよりオープンな趣味へと変化したことにより、 露骨なデザインよりも、さりげなさやオシャレさを重視したデザインが好まれる傾向にあるように思います。 自分の界隈に限った話かもしれませんが、 例えばキャラクターのイラストが描かれているグッズよりも(アクリルスタンドや缶バッジなどを除く)、 身につけても違和感のないオシャレなものや、 キャラクターが実際に作中で使用していた物のグッズ化などが喜ばれている印象です。 さらに、推しのぬいぐるみを持ち歩く文化が発展したことで、 着せ替え用の服や小物などのグッズも人気が高いです。 オタクは考察しがちな生き物なので(諸説あります)、 どれだけ推しにまつわる要素が美しく組み込まれているか。 オリジナリティを出しつつ、遊び心をいかにプラスできているかが、 みんなが手軽にデザインを楽しめるようになった今、さらに重要になりました。     05.最後に 「推し活」の対象がもはや飽和状態と言っても過言ではない状況で、 「推し」に選ばれるには、他にはない個性や需要に合わせたコンセプト設定が必要不可欠です。 さらに、素人やAIでは成し得ない、 洗練されたユーモアのあるデザインであることが絶対条件になりました。 これは「推し活」に限った話ではなく、 先述したようにすべてのことに当てはまります。 私たちデザイナーは、常に流行を追いつつ、 変化する常識に対応しつつ、技術を磨き続けなければなりません。 期待に応えられるクリエイターとして腕を磨いた先に、 プラスワンの提案ができるかどうかが、 これから先のクリエイティブに対応できるかどうかの分かれ道になるのではないでしょうか。...
紡げばいずれ、まかりなる
「月が綺麗ですね」 I love youをそう訳せば良いと言ったのは、彼の文豪・夏目漱石だという。 その表現の美しさたるや。 言葉とは、時として私たちの心に新たな火を灯す創造性を秘めているのだと、そう思わされる。 言語的相対論をご存知だろうか。サピア=ウォーフの仮説とも呼ばれるそれは 「宇宙観、思考や概念、経験様式などは用いる言語が異なれば、それに対応して異なる」としたもので、 映画『メッセージ(原題:Arrival)』の題材にもなった仮説だ。 平たく言えば「言語によって異なる思考が形成される」ということなのだが、顧みれば、 私たちが使う日本語という言語は、いかにも私たち日本人の感性を司るものであるように思う。   日本語の歴史はとても古く、非常に独特な言語である。そんな長い歴史の中で、先人たちはあらゆる言葉で愛を紡いできた。 目には見えないその想いを言葉として記し、音に乗せ、伝えてきた。その表現の深さに、私はたびたび、日本語の美しさを見るのだ。 殊更、翻訳においてそれは顕著であると思う。それは先述の「月が綺麗ですね」も同様であるが、 作家・二葉亭四迷が訳したロシア文学『片恋』の「死んでもいいわ」という言葉もまた、独特の表現だろう。これは「yours」を訳した言葉で、「yours=あなたのもの=意のままにしてください=死んでもいいわ」という、 大変奥ゆかしくも激情を秘めた言葉である。実に日本らしい表現に脱帽する。 翻訳といえば逆に、日本語にない表現に出会い、新しい価値観を見出すこともできる。私たちしか「桃の流れる音」を知らないように、私たちは「蝶がお腹の中で羽ばたく感覚」を味わうことはあまりないだろう。 文学・言語学とは、知れば知るほどその文化や価値観を学ぶことができ、 それがいずれ私たちの一部となって、創造する上での知見をより明るく照らしてくれるのだ。 言葉を紐解き、紡ぐということ。 それは、そのものの価値を創造するという点において、私たちがするデザインと通ずるものがあるだろう。 それ故に、どちらも私を魅了してやまないのだ。 それにしても、夏目漱石は「月が綺麗ですね」という言葉にどう答えるのだろう。あるいは、答えがないその余白こそが、この言葉が今日まで私たちを魅了し続ける所以なのかもしれない。 夜の帳が下りる中月を見上げ、ふとそんなことを考える夜がある。...
旅先は道の駅
都心から離れた山の中、川や海のそばに、ふと現れる白地に青いマークと文字の看板。そう、もうすぐで道の駅に到着します。 道の駅の空気とお土産が大好きなデザイナーの松岡です。みなさんは、旅行や観光地の行き先をどのように決めていますか? 有名な観光地や、写真映えするスポット、話題のグルメ。もちろんそれらも旅の楽しみですが、私にとっての道の駅は、旅の「目的地」になることが多くなりました。 みなさんが思う道の駅といえば、「駐車場」「トイレ休憩」「野菜直売所」…といったイメージでしょうか。でも実は、観光名所とはまた違って、その地域の魅力である“らしさ”を、より身近に感じられる工夫がたくさん詰まっています。 田んぼ道を横目に進むと、空と風を感じられる高い天井の建物。 海沿いでは、駐車場に車を停めたままでも、朝日を一望できる開放的なつくり。 木の温もりあふれる店内に並ぶのは、名所を描いたイラスト入りのパッケージ、老舗銘菓を包む趣ある和紙、地域の企業と学生が手を組んだコラボ商品。奥へ進むと、作家の名が刻まれた工芸品や、心のこもった手書きのPOPが目に入ってきます。 どれもその土地の“らしさ”をぎゅっと凝縮した、デザインのかたち。私はそんな個性を感じられる道の駅を求めて旅をします。そして最後に欠かせないのが、ソフトクリーム。 その場所でしか味わえない一口は、目の前の風景とともに写真に残したくなります。ソフトクリームに...その味??と少し驚くような味もよく見かけますが、思い切ってチャレンジしてみてください。新たな発見があるかもしれません...! まだ見ぬ“らしさ”を求めて、 道の駅の旅に出かけてきます。...
写真、構図、デザイン
みなさん、写真は撮りますか? 最近のスマートフォンはカメラ機能がかなり進化していますが、 今回はあえて「一眼レフカメラ」での撮影についてお話ししたいと思います。 僕はまだ一眼レフ歴5年ほどの“中堅”ですが、子どもの頃からカメラに親しんできたこともあり、 写真・映画・アニメ・ドラマなどさまざまな画面表現に触れる中で、ある結論にたどり着きました。 それは『何事も構図が命』ということです! 今回はその「構図」について、特に有名で使いやすいものを作例とあわせてご紹介します。 構図は感覚的な要素が大きいですが、基本的な型を意識するだけで印象は大きく変わります。 風景写真を例に挙げましたが、人物撮影(ポートレート)にも応用が可能です。 背景をぼかして被写体を際立たせたり、角度を工夫して印象を変えたりといった工夫も効果的です。 この経験は、デザインにおける写真の扱いにも活かされます。 カタログやパッケージ、販促物、POPなどのレイアウトにおいても、 最適な写真の配置や構図を選ぶことが完成度を大きく左右します。 写真の使い方次第で、デザイン全体の印象がぐっと引き締まります。 これから秋を迎える季節、撮影にも最適なタイミングです。 皆さんもぜひ構図を意識して撮影を楽しんでみてください。 僕は愛機を持って街の風景を収めに行ってきます。 それでは! 秋、来ましたね...
SNSとデザイン
おはようございます。みなさんは朝起きて、まず何をしますか? 私はベッドから起き上がる前にスマホを開いて、ついSNSをチェックしてしまいます。 今やSNSは、すっかり日常の風景のひとつになりました。なんとなくInstagramを眺めたり、支度をしながらYouTubeを流したり、通勤中にXを開いたり。「閉じたはずのXをまた開いてしまった…」なんて経験、誰にでもあるのではないでしょうか。 SNSの面白さは、情報が流れているだけではなく、その中に「世界観」があることだと思います。お気に入りのアカウントを思い浮かべてみると、 写真のトーンや言葉づかい、投稿のリズムに“その人らしさ”が表れていますよね。企業やブランドの公式アカウントも同じで、投稿ひとつで「らしさ」をどう見せるかが問われています。 ちなみに私は青色が好きなので、自分のInstagramは青っぽい写真で統一。 あとで見返すとちょっと作品集のようで楽しいんです。 また、スクロールすれば次の投稿に切り替わるSNSの世界。みなさんは、どんな投稿につい目を止めてしまいますか? 鮮やかな景色、美味しそうなご飯、続きが気になる漫画…。思い返してみると、自分の“好き”が意外と分かりやすく見えてきますね。 どんな写真を使うか、色味やフォントをどう揃えるか、どんな言葉を添えるか。見せ方ひとつで印象は大きく変わります。伝わり方が何倍にも広がるのがデザインの面白いところです。 そう考えると、SNSで投稿しているみなさんは、すでにデザイナーなのかもしれません…! 私たちが取り組んでいるパッケージデザインも同じで、「手に取ってみたい」と思ってもらえること、そして「ブランドらしさ」を感じてもらえることが大切です。 デザインがあふれる時代だからこそ、一つでも多くの人の目に留まる作品をつくれたら嬉しいな〜と思います。...
日々を編む
9月に入り、夏の終わりを謳うような曲たちがラジオで流れ始めた今日この頃。 寒がりな私にとって、徐々に日が短くなり寒い冬へ近づく気配のするこの季節は、 毎年少し憂鬱な気分になっていました。 ただ今年は例年と違い、なんだか冬が楽しみ。 それはきっと今夢中になっている「編み物」のおかげかなと思います。 編み物を始めたきっかけは昨年の春頃、 インスタグラムを何気なく眺めていた時に目に入ったお花がたくさんついたバッグの写真でした。 「かわいい!!!」 なんとなく編み物というと、年配の方が着ているような渋めカラーの洋服のイメージが強かった私にとって、 優しく明るいカラーリングとぷっくりとしたお花のモチーフのそれは、 私の中にある編み物の概念を大きく覆してくれたのです。 思い立ったが吉日、早速材料を買いに外へ出ました。 これが私と編み物との出会いです。 編み方どころか針の持ち方もよくわからないままに、動画などを見つつ完成したものがこちら。 その後はあみぐるみや、手を使って編むマクラメ編みでスマホストラップを作ったり、、、 今では棒針を習い始め、マフラーやカーディガンなど大きめの作品作りに夢中になっています。 そんな編み物ライフを送っている私ですが、 編み物の何に惹かれているかというと やはり「無心になれる」という部分に一番の魅力を感じています。 上京して数年、クリエイティブなもので溢れる東京は少し歩くだけでとても楽しく、 多くの刺激を得られます。 であるが故に、ついつい休みの日でもデザインのことを考え、情報や思考で頭の中が溢れてしまうことも。 一方でひたすら針を動かし編み地をひろげていく時間は、 それだけに集中でき、頭の中が整頓されていくような気分になります。 そんな様々な刺激を受けて思考する時間と 編むことに集中し、頭の中を整頓する時間の連続が まるでギュッと詰まった編み地のように 日々の生活をハリのあるものにしているのではないかと思います。 ところで編み物にハマった私は最近、使う毛糸にも興味が湧きはじめました。 布製の収納ケースのチャックが今にも壊れてしまうのではないかというほど、パンパンに毛糸玉が詰め込まれています。 冬に向けて暖かい手袋や靴下が欲しいという方、ぜひご相談くださいませ(汗)  ...
食とデザイン
「今日は何を食べようか。」 そう考えながら、何も決めずににぎわう街を歩くのが私は好きだ。 初めて訪れるエリアなら、なおさら気分が高まる。 風情ある下町の路地に並ぶ老舗の暖簾、 最新のデザインが集まる流行の街、 普段は足を運ばない少し遠い土地。 その場所でしか出会えない食と雰囲気を味わうことは、私にとってささやかな楽しみだ。 このペースだと孤独のグルメ感が強くなるので、本題に話を戻そう。 今日は何を食べようか。 食べたいと思う基準は、実にシンプルである。 それは「美味しそうかどうか」。 料理写真に心をつかまれることもあれば、 店主の思いが込められた手書きの文字に惹かれることもある。 自分の感覚に素直に従うことを大切にしている。 仕事柄、料理撮影に関わることが多いが、 フードコーディネートを任されることもある。 料理や食材の配置、器の選び方、色合い、光の加減。 ほんの少しの工夫で「食べたい」という気持ちは大きく変わる。 赤いトマトを添えるだけでお皿全体が引き締まるように、 小さな調整が料理の魅力を最大限に引き出すのだ。 だから私は信じている。 料理に込められたこだわりは、デザインによって映し出されてこそ 人の記憶に残る「食の体験」になるのだと。 食に関わるデザインワークが、私は大好きだ。 パッケージデザイン、アプリ開発、メニューデザイン、店舗設計、サービス。 どれもがお店のコンセプトを伝える大切なクリエイティブである。 これからもコンセプトを大切に、その価値を最大化し 「無性に食べたくなる」その感覚に訴えるデザインをこれからも生み出していきたい。 そして「美味しそう」を超え、感情や物語まで届けられる存在を目指して。 日常の食卓は、小さな舞台。 食事の前に一息ついて、そのこだわりを感じてみてください。 ありふれた一皿が特別な時間へと変わるかもしれません。...
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