クリエイターズコラム
パリの空の下、ウエストンを想う

昨年念願のフランスに旅行に行った。
パリの街、足元に広がるのは石畳だ。
決して滑らかとは言えないその凹凸のある道を、颯爽と歩くパリジャンたちの姿には風格が漂う。
そして、そんなパリに最もふさわしい革靴ブランドが、JMウエストンだ。
パリ8区、サン・トノレ通りに構えるJMウエストン本店。そこは単なる靴屋ではない。
まるでギャラリーのように美しく整えられた空間には、クラフトマンシップが息づく一足一足が静かに並んでいる。
革靴を好きになって数年、パリに行けばJMウエストンの本店に必ず行こうと思っていた。
購入する勇気はなかった。なぜなら私の欲しいゴルフ#641というモデルは800ユーロ越えの品、
簡単に決断できる金額ではない。
ブラッド・ピットのスマートな弟のような店員が丁寧に接客してくれた。
「Voulez-vous essayer ?(試してみますか?)」の言葉に私が抗えるすべもなかった。
ウエストンのウエストンたる真骨頂はフィッティングである。
ハーフサイズで選べる大きさと幅、他のブランドには無い細やかな設定。
何時間でも気が済むまでのフィッティング。
色んなデザイン(皮革違いや、色)とサイズをフィッテイングさせてもらった。
私は、結果、当然、購入していた。
そして、おすすめの専用のシューキーパーも購入。(110ユーロ)
パリの空の下、ウエストンを想いながら、
ゴルフの入った紙袋を持って歩く私は、人生最高、
至福の時間を感じていた。