クリエイターズコラム
ルアーとデザイン

 

暇があったら釣りしたい。デザイナーの薄井です。
みなさんは釣りをしたことがありますか?

小さい頃に少しやったことがある人も、
大人になっても釣りをする人は多くないかなと思います。
釣りはいいです。都会の喧騒から離れ、
川や海、湖など自然が多い開放的な場所で
魚のことだけを考えて ただ竿を振り続ける、、、はい。

と言うわけで僕のコラムでは釣りにデザインを絡め、
魚の釣るための道具。「ルアー」について話していこうと思います。
まずルアーとはなんぞやという方に教えるならば、
ざっくり、偽物の魚のおもちゃです。

針のついた偽物の魚を、本物の魚のように動かし、誘い、食わせる。これだけです。
そしてルアーを使った釣りをルアーフィッシングといい
魚を待つのではなく、魚を探しにいく。感覚に近い釣りだと思っています。
そんなルアーは魚の種類の数ほどあると思っていいほど?
親指サイズ程の魚から、数百キロを超えるマグロを釣るルアーもあり、僕もよくわかりません。
その数だけ考え抜かれたデザインと果てしない浪漫が詰まっています。
そんなルアーの魅力を「形と動き」「カラー」「遊び心」についてご紹介したいと思います。

 

形と動き

ターゲットを釣るには捕食対象の形と動きをコピーしなければなりません。
イカを釣るなら、エビのシルエットでエビのように逃げる動きをするルアー。
ブリを釣るならイワシの形をして、捕食者に追われ水面に飛び出す動きをするルアー。
沈むのか、浮くのか、横にスライドするのか、小刻みに動くのか、何パターンもの動きがあります。
その動きは、ルアーが受ける水の抵抗と糸がルアーを引っ張る力のバランスによって
まるで本物のようなリアルが生まれます。角を作れば激しく逃げ惑う演出に。
角を削り抵抗を無くせば、捕食者に気づいていない、ぼけ~っとした雰囲気を漂わせ食わすルアーもあり、
そのたくさんの選択肢から選び、魚を釣ることができる。まさにルアーの醍醐味といえます。

 

カラー

これも同様に捕食対象のカラーをコピーしなければなりません。
エビであれば黒のシマシマの模様があったり、イワシはブルーの配色に黒の点々といったところ。
鱗が太陽の光に反射してキラッと光る瞬間を演出するために特殊な加工をしたり
魚に気づいてもらうために派手なカラーや暗闇で光るものもあります。
朝と夜でカラーを分けたり、天候を見て考えたりすることができ、楽しむ要素として大きいです。
同じ形と動きなのにカラーが違うだけで全く反応が違うことがあり、
意外と魚は目で色を判別しているみたいです。
僕は百貨店で並んだネイルを見て、釣れそうな色を探してしまう。釣り好きならわかってくれるはず。
それだけカラーには可能性が秘めていて、色々試せるのがまた面白いところです。

 

遊び心

難しい印象を受ける方もいるかもしれませんが、結局は遊びの一種。
楽しくなければ意味がないのです。釣れる確率の高いルアーで釣った時よりも、
こんなんで釣れるのかと思ったルアーで釣った時の方が感動が大きい気がします。
もちろん自分のセオリーで釣るのも楽しいですが
そういった遊び心になんだか自由と面白さを感じます。

ルアーフィッシングを通して僕が普段釣りをする場所は都会だが様々な生き物が生きていて
ねずみやたぬきに会うことは頻繁で、僕に気づかず鷺がぶつかってきたことも。
危険もたくさんあり気をつけなければなりませんが、
魚を釣るだけでない、思いがけない出会いがあるのも釣りならではです。

そしてルアーには一つ一つ作り手の意思や、デザインが散りばめられていて
人を楽しませる要素が詰まった道具です。

私も同じ作り手として人を楽しませ、感動できるデザインを作り出していきたいです。

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