クリエイターズコラム
偶然と余白

もう長いこと、新しいペンケースを探しています。
スケッチ用のボールペンと、シャーペンと消しゴム、
欲を言うなら替え芯も入るぐらいの、やや小さなものを。

数年使っていたものが壊れてからというもの、
僕の筆記用具たちは薄手のバッグインバッグの中で
ガチャガチャとやかましく幅を利かせ続けています。

早く買えよとお思いでしょうが、変なこだわりがあるのでそうもいきません。

ただ、僕はこの不便な状況を、生活する上での2つの考えの下、
そこそこ楽しく受け入れていれています。
そんなお話です。

1.偶然とか巡り合わせなんかを信じてみる

平たく言えば運命ってやつです。
素敵なものに出会うことは決まっていて、そこまでは全て前振り。
偶然や何気ない気づきが、自分だけのものに出会うための布石です。
少し肩の力が抜ける気がしませんか?

ハンドメイド雑貨が並ぶマーケットに行った日も収穫は無かったですが、
「出会わないということはそういうことよ」と、気楽なものです。
なんならそこまで本気で探していなかったりもしますが。

ミスや空振りが続いてもなんてことはありません。
今日もだめだった、とは思わずに、溜めが長いね、と楽観的に。

自分らしいものは思いがけず転がり込んでくるもの。
物事を都合よく捉えましょう。

2.余白や間を楽しむ

デザインっぽい言葉だと思って身構えないで大丈夫です。
無駄に思えるものがあるからこそ感じられる良さがある、ということです。

友人と港町に行き、美味しい魚を食べる会を開いた時のこと。
1時間に1本しかない帰りのバスに乗り損ねた僕たちは、
その待ち時間で海辺のスケッチをすることにしました。
目的であったはずの魚の味よりも、
余白の中で生まれたことがその日の一番の思い出になったのです。

今の僕は、「ペンケースが見つからない」という余白のおかげで、
出先で文具店を見つけるたびにわくわくできているのでしょう。
日々の余白や間を見つけても、無理に埋めずに、
そのままにしておくことで生まれる楽しさがあるかもしれません。

 

私たちはしばしば「必然性」や「足すこと」で表現しようとしますが、
思いもよらない豊かさは「巡り合わせ」や「引くこと」の中にあるのかもしれません。

ロジックの半歩先でオリジナリティが見つかる。
なにもない部分があるから、意図や想いを感じられる。

その結果、心地よく、長く愛せるものに出会えるのだと思います。

前のめりになりすぎず、ゆるっと楽しんでいきましょう。

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