クリエイターズコラム
HARMONY of DESIGN

 

僕は、波に乗っている。40年以上、乗りまくっている。そして、今が一番熱い。
なぜなら僕は、昨年の全日本サーフィン選手権で10度目の優勝を達成し、
今年10月18日から開催されるISA世界マスターズサーフィン選手権に50歳代の日本代表選手として、
まもなく中米のエルサルバドルへ向けて出発するからだ。
大会結果は下記リンクからご覧いただくとして、このコラムではサーフボードのデザインについてお話ししていきます。

https://isasurf.org/event/2024-isa-world-masters-surfing-championship/

 

 

サーフィンの魅力とスタイル

サーフィンとは、自然との調和です。波と一体化して、そのエネルギーを体感するスポーツです。
これがまた、かなり難しい。だから面白い。
サーフィンの魅力は、重力からの解放です。
海という偉大なる自然と向き合い、波の水面を滑走する時の天を舞うような解放感と爽快感は格別です。
100年あまり前からサーフィンは、ライフスタイル、カルチャーやファッション的存在として人々を魅了してきました。
世界中の良い波を求めて旅をするアドベンチャーサーファーや社会生活から離脱して波中心の生活をするソウルサーファーなどです。
1960年代からは競技サーフィンとして世界チャンピオンを決定するワールドツアーも始まりました。
また近年は地球上で最大の波に挑戦する(現在のギネス世界記録は26.21m)ビッグウェーブ系も盛り上がりを見せており、様々なスタイルで発展を遂げています。
特筆すべきは、2020年東京オリンピックから正式種目に認定され、サーフィンはメジャースポーツの仲間入りを果たしました。
今年タヒチで開催されたパリオリンピックに続き、2028年ロサンゼルスオリンピック、その次の2032年ブリスベンオリンピックへとつながっていきます。

 

 

最高のサーフボードを求めて

波と自分をつなぐ接点、それがサーフボードです。
最高のボードが欲しい、マジックボードを手に入れたい。サーファー誰もが願うことです。
昔からサーフボードは、芸術作品の彫刻のごとく削り出すシェイパーの職人技として作られてきました。
曲線のみで構成された機能美と造形美。そこには無限の宇宙が広がる、究極のクリエイションです。
サーフボードは、有機的で実に美しく、1日中眺めていても飽きない。
近年はサーフィン技術の進化とともに、より高次元なサーフボードデザインの追求が続いています。
コンピュータ3Dソフトでボードデザインをデータ化してシェイピングマシンで削り出すことが主流になってきました。

 

 

気付いた極意

僕は、世界のトップシェイパーのボードを数多く購入しテストライドを重ねボードデザインの研究をしてきました。
重力、浮力、揚力、反発力、遠心力、流体力学などの法則、理論をもとに、動く水の斜面をより早く滑り、回転性や安定性を生み出すカタチを追い求めます。
0.1mm単位で数値を模索する中で、重要なことに気付いたのです。
1箇所の数値は同じでも、隣を小さくすると広く感じる。また数値を大きくしても、隣がさらに大きいと狭く感じる。
つまり1箇所の数値そのものには、あまり意味がなく、周りとのつながりによって初めてその価値や効果が発揮されるのです。
部分にこだわらず、目線を引いて全体の流れを見ることが重要で、全ての数値の関係性がバランス良く見事に整った時にマジックボードが完成するのです。

 

 

「調和」が価値を生む

ん、待てよ、世の中のすべてのことは、調和によって成り立っているのかもしれない。
最高に美味しいレシピ、美しい絵画、心揺さぶるメロディ。すべては単純な要素の調和から生み出されている。
人間関係もそう。周りの人たちの支えや刺激のおかげで自分が活かされている。
わたしたちヘルメスは、クライアントの企業価値と商品の魅力を最大化するためにパッケージデザインやグラフィックデザインの創造に日々励んでいる。
AIのアウトプットでは、調和は成し得ない。
わたしたちは、ひらめきと美的感性と表現力によって傑作をデザインする。
ありのままでいい。自分らしくていい。その個性を活かす絶妙な調和が価値を生む。
創造を突き詰めると、いろいろなことが見えてくる。
サーフィンも、人生も、奥深い。

 

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