クリエイターズコラム
ユニフォームとデザイン
皆さんこんにちは、ディレクターの宇田です。 最近は大好きな浦和レッズの試合に飽き足らず、 Jリーグをはじめ世界各国のサッカーの試合を見ております。 部活動でも観戦でもサッカー漬けだった私ですが、 デザイン業界に足を踏み入れてからというものの、 サッカーをクリエイター視点で見ることが多々あります。 エンブレムやユニフォーム、スタジアムなど サッカーというスポーツには様々なデザインが関わっています。 中でもユニフォームのデザインは近年、特に興味深い変化を遂げています。 1990年代から2000年代初頭にかけてはゆったりとしたフォルムで 襟付きのユニフォームがトレンドとなっていました。 2010年くらいからは機能性を重視したタイトなユニフォームが徐々に登場し、 チームごとにデザイン性と機能性を両立したデザインが増えました。 街に出るとサッカーのユニフォームをファッションの一部として 取り入れている方を見かけることはありませんか? 近年ユニフォームをファッションに取り入れるスタイルが人気を博しています。 そのような影響を受け、各チームではファッショナブルなユニフォームが登場し、 ユニフォームのデザインに新たなトレンドが生まれています。 また、日本代表でも山本耀司氏によるスポーツファッションブランドの 「Y-3」のユニフォームを採用しています。 燃え盛る炎のグラフィックがシンプルかつ力強く描かれた、 かっこいいユニフォームです。 個人的に最近購入したユニフォームでも特にお気に入りなのが、 イタリアセリエAの名門ユベントスによる2024-2025年シーズン3rdユニフォーム。 イタリアのチームらしくファッショナブルなデザインで気に入っています。 目新しさもありながら、どこかレトロで気品のあるデザインで、 日々の生活にも取り入れやすいデザインだと思います。 これから10年後、20年後のユニフォームは 一体どのような変化をとげているのでしょうか。...
ルアーとデザイン
  暇があったら釣りしたい。デザイナーの薄井です。 みなさんは釣りをしたことがありますか? 小さい頃に少しやったことがある人も、 大人になっても釣りをする人は多くないかなと思います。 釣りはいいです。都会の喧騒から離れ、 川や海、湖など自然が多い開放的な場所で 魚のことだけを考えて ただ竿を振り続ける、、、はい。 と言うわけで僕のコラムでは釣りにデザインを絡め、 魚の釣るための道具。「ルアー」について話していこうと思います。 まずルアーとはなんぞやという方に教えるならば、 ざっくり、偽物の魚のおもちゃです。 針のついた偽物の魚を、本物の魚のように動かし、誘い、食わせる。これだけです。 そしてルアーを使った釣りをルアーフィッシングといい 魚を待つのではなく、魚を探しにいく。感覚に近い釣りだと思っています。 そんなルアーは魚の種類の数ほどあると思っていいほど? 親指サイズ程の魚から、数百キロを超えるマグロを釣るルアーもあり、僕もよくわかりません。 その数だけ考え抜かれたデザインと果てしない浪漫が詰まっています。 そんなルアーの魅力を「形と動き」「カラー」「遊び心」についてご紹介したいと思います。   形と動き ターゲットを釣るには捕食対象の形と動きをコピーしなければなりません。 イカを釣るなら、エビのシルエットでエビのように逃げる動きをするルアー。 ブリを釣るならイワシの形をして、捕食者に追われ水面に飛び出す動きをするルアー。 沈むのか、浮くのか、横にスライドするのか、小刻みに動くのか、何パターンもの動きがあります。 その動きは、ルアーが受ける水の抵抗と糸がルアーを引っ張る力のバランスによって まるで本物のようなリアルが生まれます。角を作れば激しく逃げ惑う演出に。 角を削り抵抗を無くせば、捕食者に気づいていない、ぼけ~っとした雰囲気を漂わせ食わすルアーもあり、 そのたくさんの選択肢から選び、魚を釣ることができる。まさにルアーの醍醐味といえます。   カラー これも同様に捕食対象のカラーをコピーしなければなりません。 エビであれば黒のシマシマの模様があったり、イワシはブルーの配色に黒の点々といったところ。 鱗が太陽の光に反射してキラッと光る瞬間を演出するために特殊な加工をしたり 魚に気づいてもらうために派手なカラーや暗闇で光るものもあります。 朝と夜でカラーを分けたり、天候を見て考えたりすることができ、楽しむ要素として大きいです。 同じ形と動きなのにカラーが違うだけで全く反応が違うことがあり、 意外と魚は目で色を判別しているみたいです。 僕は百貨店で並んだネイルを見て、釣れそうな色を探してしまう。釣り好きならわかってくれるはず。 それだけカラーには可能性が秘めていて、色々試せるのがまた面白いところです。   遊び心 難しい印象を受ける方もいるかもしれませんが、結局は遊びの一種。 楽しくなければ意味がないのです。釣れる確率の高いルアーで釣った時よりも、 こんなんで釣れるのかと思ったルアーで釣った時の方が感動が大きい気がします。 もちろん自分のセオリーで釣るのも楽しいですが そういった遊び心になんだか自由と面白さを感じます。 ルアーフィッシングを通して僕が普段釣りをする場所は都会だが様々な生き物が生きていて ねずみやたぬきに会うことは頻繁で、僕に気づかず鷺がぶつかってきたことも。 危険もたくさんあり気をつけなければなりませんが、 魚を釣るだけでない、思いがけない出会いがあるのも釣りならではです。 そしてルアーには一つ一つ作り手の意思や、デザインが散りばめられていて 人を楽しませる要素が詰まった道具です。 私も同じ作り手として人を楽しませ、感動できるデザインを作り出していきたいです。...
犬の毛色から視えるデザイン
はじめて犬を飼ったのが幼稚園生の頃。 犬アレルギーの妹がいたので毛の抜けづらいトイプードルを家族でお迎えしました。 今はもう天国にいますが、ふと思い出しては18年間撮り続けていた動画や写真を見返しています。 その子はとても鮮やかな赤茶の毛色でした。 もともと犬好きだった私は小さい頃からよく犬図鑑を見ていました。 なので昔からだいたいの犬種の毛色や特徴は覚えていました。 犬の中で1番多いのは茶系の毛色といわれています。 元々狩りをする動物だったので獲物に気づかれないため土や枯れ葉などの自然の色に馴染む必要があったそうです。 プードルも起源は水辺の猟犬だったと言われています。 (余談ですがあのくるくるの毛質は泳ぎやすくするための名残りだそうです) ウエストハイランドホワイトテリアという犬種も純白で美しい毛色の犬ですが起源はキツネ狩りの際、 キツネとの誤射を防ぐためという一説があります。 自分の愛犬を誤射なんて悲しすぎますもんね…    現代まで様々な犬種の掛け合わせによりその毛色の役割は薄れていますが、犬は愛玩としてよりも人間とともに生きる仕事仲間でした。 犬の毛色はより効率よく仕事をこなすためデザインされたものだったんです。 クリエイティブでも大切なことだと思います。 見た目の単純な可愛さや美しさばかりではなく、 説得力と深みのある作品がつくれるデザイナーに日々精進したいです。...
御朱印とデザイン
はじめまして!デザイナーの井出です。 趣味は、競馬、お酒、釣り(海)! ですが、今回お話しさせていただくのは、あまり人に言っていない趣味のひとつ、 「御朱印集め」です。 昨今は「御朱印ブーム」などもあり、趣味にする人も多くなった御朱印集めですが、 私が、御朱印を集めるきっかけになったのは小学生のとき、祖母のお葬式でした。 祖母の棺の中に、たくさんの綺麗な布表紙の『小さな本』が副葬品として入れられていました。 祖父に「この本なに?」と聞くと「ばぁばが集めていた御朱印だよ」と教えてくれました。 祖父母は歴史と旅行が趣味で、日本全国の歴史に縁のある場所をふたりで車で巡っていました。 御朱印はその旅の中で少しずつ集めたものだと。 小学生ながらに、私も自分の棺に入れてもらおうと、それから御朱印を集めるようになりました。 小さな頃は、それこそスタンプラリーのような感覚で集めていましたが、 大人になるにつれ、歴史や神社好きも相まって、より御朱印の魅力に惹かれるようになりました。     御朱印の魅力のひとつに、デザインやアートとしての美しさがあります。 御朱印の構成は、 「奉拝」の文字、「参拝日」、「印章」、 「神社仏閣の名称」または「祀られている神様、仏様の名前」というのが一般的です。 筆文字の迫力や繊細な筆のストローク、墨書と朱のコントラスト、印章のデザイン、書き手の癖、 神社やお寺の歴史や個性、参拝する時期によって異なる風合いなど、 同じ構成でもひとつひとつ違う、一期一会、唯一無二のデザイン。 とても魅力的です。     御朱印は、参拝した証にいただく書ですが、ひとつひとつが、お守りやお札と同じようなものなので、 朱印所の書き手の方も、とても真剣に書いてくださいます。 (余談ですが、大学生の頃、巫女バイトをしていて、御朱印を書くとき印章を少しでも欠けさせてしまうと、 宮司の奥様にとんでもなく怒られました。。。少しの失敗も許されないものなのです。。。)   今まで集めた御朱印は、参拝の証というだけではなく、そのときの気持ちや旅の思い出も詰まった宝物です。 私も、いつか棺桶に御朱印と入るその日まで、宝物のようなデザインを生み出していきたいです。 では!...
島旅とデザイン
はじめまして、11年目のデザイナーの石田です。 いま、島旅にはまっています。 このコラムでは島旅の魅力と、おすすめランキング(とちょっとだけデザイン)についてお話ししたいと思います。   僕が島に魅力を感じはじめたのは、経済学部に通っていた大学生の頃。 いよいよ就活になり「グラフィックデザイナー」という仕事に魅力を感じ、デザインの専門学校へ行くことを決めました。   そのきっかけとなったデザインのひとつが、原研哉氏がデザインした「瀬戸内国際芸術祭2010」のビジュアルでした。 “ 瀬戸内国際芸術祭2010 https://setouchi-artfest.jp/archive/2010/ ” 静寂の中に感じる島の空気感に高揚感を覚え、卒業旅行と称し、一週間ひとりで瀬戸内海に浮かぶ島々を旅しました。 瀬戸内の島中でアートに触れた経験は、大学4年間の中で最も刺激的でした。 それから十数年、島旅から遠ざかっていましたが、2022年に行った「式根島」をきっかけに島好きが再加熱。 その後は国内外で、十数島をめぐりました。 今年スキューバダイビングのライセンス(OWD)をとり、いまは海の中の景色も楽しんでいます。 日本には14,120もの離島があるそうなので、まだまだ島好きを語るには早いかもしれませんが、 これまでに行った国内の島をおすすめ順にランキングにしてみました!     第5位 石垣島 おすすめ度★★★☆☆ 石垣島の海には多くのマンタが集まり、遭遇率の高さは世界有数。 “マンタスクランブル”という別名もあるほど。 夜は民謡酒場の島唄ライブと泡盛でテンションは最高潮。 海と酒が好きな人におすすめ。     第4位 豊島(てしま) おすすめ度★★★★☆ 現代アートの島として知られる瀬戸内海の小さな島。 自転車で1周1時間半くらい。 アーティスト・内藤礼氏と建築家・西沢立衛氏による「豊島美術館」は必見。 自分と景色が一体になるアートは島のゆったりした空気の中で時間を忘れてしまいます。 アートに包まれながらリラックスしたい人におすすめ。 “ 豊島美術館 https://benesse-artsite.jp/art/teshima-artmuseum.html ”     第3位 直島 おすすめ度★★★★☆ やはりアートの島の代表といえばここ。 草間彌生氏のかぼちゃが有名。 大学生の頃に見たブルース・ナウマン氏の「100生きて死ね」(ベネッセハウスミュージアム所蔵)は 自分の人生とは?を考えさせられた忘れられないアート体験でした。 人生に迷っている人にも、そうでない人にも、おすすめ。 “ BRUTUS https://brutus.jp/setouchi_museum2/ ”     第2位 屋久島 おすすめ度★★★★★ 日本で初めて世界遺産に登録された場所。 有名な縄文杉や「もののけ姫」の世界を感じるトレッキングも良いですが、個人的には川や海の世界も魅力的。 ダイビングをせずともシュノーケリングでウミガメと一緒に泳ぐ貴重な体験ができる島。 山に海に川に、自然の偉大さを感じられる場所。 人間であることを忘れたい人におすすめ。 “ 屋久島観光協会 https://yakukan.jp ”     第1位 式根島 おすすめ度★★★★★★★★ 伊豆七島のひとつで、実は東京都の離島です。 島内には品川ナンバーの車ばかり走っており、風景と相まってちょっとした違和感を覚えます。 金曜日の仕事終わりに東京・竹芝から出る夜行船に飛び乗って寝酒を飲み、朝起きたら島! という異世界転生旅がおすすめ。 島のあちこちで温泉が沸いており、海に面した温泉は冷えた体を温めてくれます。 東京とは思えない星空と透明度の高い海は、最高の“大人の夏休み”が味わえます。 子ども心を取り戻したい人におすすめ。 “ 式根島観光協会 https://shikinejima.tokyo ”   まだまだ語り足りないですが、すでにめちゃくちゃ長いのでこのあたりで...。 またおすすめの島があれば次回ご紹介します。 ではどこかの島でお会いしましょう。...
自作PCとクリエイティブ
こんにちは。ディレクターの飯郷です。 僕は幼い頃からゲームが好きで、休みの日には友人と一緒にゲームをしています。 ゲーム機はもちろん、スマホやPC等いろいろなハードウェアで遊んでいます。 特によくプレイしているのがPCゲームで、遊ぶにはそれなりのPC性能が必要になります。 「より快適に!」「より綺麗な映像に!」「でもコスパは良く!」などの欲が積み重なり、 自分好みのPCを作ったりしています。 自作PCの魅力はカスタマイズ性で、 ビジネスやクリエイティブ、ゲームなどの用途にあった性能や、 自分好みの見た目にもデザインすることができます。 僕が自作するPCはゲームをすることが目的のいわゆる「ゲーミングPC」と呼ばれるものです。 虹色に光るデザインが有名ですね...! ”自作”と聞くとかなり難しいと思う方も多いと思いますが、 作業としては決められたパーツを組み合わせていくだけなので、 プラモデルのような感覚で作ることができます。(個々のパーツはかなり高価で緊張しますが...) PCを動かすにはそれぞれのパーツが必要になります。 1パーツで2役するような例外はありますが、基本的なパーツを大きく分けると、 ○土台の役割をする「マザーボード」 ○脳の役割をする「CPU」 ○映像をみせる「グラフィックボード」 ○一時的に記憶させる「メモリ」 ○データを保存できる「ストレージ」 ○原動力の「電源」 と6つのパーツで構成されています。 より細かなパーツやマウス、キーボードなどの周辺機器もありますが、 どれも欠かすことのできないもので、 それぞれの力がそろって、初めてPCとして完成するのです。 初めてPCを完成させたときは、自分の力で組み上げたという”達成感”と、 どこまで快適に動くのだろうという”わくわく感”がありました。 これはクリエイティブの現場にも似ているところがあると思っています。 パッケージデザイン制作に関しても、 ディレクター、デザイナーやカメラマン、印刷オペレーターなど... 様々なスタッフの役割があり、一つのモノを作り上げることができます。 そして、パッケージデザインが完成したときの”達成感”と、 自分が携わったものが店頭に並ぶ”わくわく感”が、どこかPC作りと重なる部分がありました。 何事にも多くの人が携わって成り立っている、ということを忘れず、 これからも”達成感”と”わくわく感”を求めて良いモノを生み出していきたいです。...
アナログとデザイン
もう東京に出て何年経つだろう。 田舎者だった私は東京に憧れ、高校卒業後すぐに上京した。 全てが新鮮で、刺激的で、日々新しい発見に心躍り、無我夢中だった。 長い東京での生活を経て、気づけば便利な世の中が当たり前の日常となっている。 私の故郷は不便で何もない場所だが、自然に恵まれた町だった。 幼少期の遊び場はいつも海と山で、泥に塗れながらもさまざまな事を学んで育ったものだ。 今の子供達の遊び場は小さな液晶画面の中にあるらしい。 遊び場までここまでコンパクトでスマートになるとは驚きだ(笑) この数十年の時代の進化は目まぐるしかった。 昭和、平成、令和と私は時代の変化を目の当たりにしてきた。 ノートと鉛筆はタブレットPCに変わり、 ショルダーフォンは手のひらサイズのスマートフォンとなった。 そしてそのスマートフォン1つで全てを叶えてくれる時代となった。 天才といわれる人達が急速にテクノロジーの進化を与えてくれたことで、 何不自由のない生活を送れている。 一方で、古き良き時代の面影は着実に薄れている。 父親は実家で看板屋を営んでいて、いまだに手書きで看板を手掛けている。 下書き無しで、失敗がゆるされない緊張感の中、一文字一文字に魂を込めて丁寧に描き上げていく。 今となってはそんな手書きの看板からぬくもりを感じる。 父親の無骨な文字がなんとも言えない味わいと温かみを醸し出し、妙に心地良い。 いわゆる「人間味」を感じるというものだ。 時代はアナログからデジタル社会になり、 より早く、正確で完璧なものがあたりまえに求められる。 悲しいかな、当然父親の仕事も淘汰されつつある。。。 アナログとデジタルは程よいバランスで共存しなくてはならないと思う。 人間の最大の特徴は感情がある事だ。 感情は繊細で365日同じ感情はない。積み重ねた時間と経験、気温や周りの環境でその一瞬の感情が変わってくる。 AIやロボットには真似できない特技だ。 そして私たちの仕事はデザインでそんな人々の感情を動かす事。 クラフトマン魂を胸に、人のぬくもりを感じるデザインを提供していきたい。...
映画とデザインとノーランと
映画とゴルフをこよなく愛する、秋山です。 最近は、最新の映画に飽き足らず、映画に夢中なった90sの作品や生まれた80s以前の映画を観返す時間が増えています。 映画のいちファンとしてあーだこーだ好き勝手に映画の感想や評価をしている訳ですが、デザインの仕事をしている観点で映画を考えると色々思うことがあるなぁと感じます。 ストーリー・シナリオ・プロット制作、監督選び、キャスティング、カメラマン、音響などのスタッフチームのキャスティング、サウンドデザイン、映画を認知させる為の広告やトレーラーの制作、パンフレットの制作と、まさに映画作りも一つ一つのパーツを組合せたデザインの集合体と言えます。 17歳の時でした、 部活帰りに『メメント』という映画を劇場で観て衝撃を受けたのを覚えています。当時はまだまだ無名のクリストファー・ノーランという監督の作品でした。 10分しか記憶を保てない男が、妻を殺害した犯人を探し出そうとするサスペンスで、時系列が逆向きに進行するカラー画面のパートと、時系列がそのまま進行するモノクロ画面のパートが交互に繋がれた難解な映画です。記憶を保てない自分の身体にタトゥーを入れて、、、 この後、『インセプション』や『インターステラー』、『TENET』といったヒット作を世に送り出しますが、彼ほど、映画のなかに観客が体験する<没入感>を作りだせる天才はいないと思います。 そう、ノーランは映画の中で 没入感 をデザインしているんです。(と勝手に信じています。) デザインという仕事は、狙った色や表現手法で消費者の目的やニーズを引き出す導線を作り、商品を魅力的に見せ、購入やサービスの問い合わせに繋げるきっかけを作りだします。デザイナーは意識的に、消費者を無意識に購買へと繋げている訳です。 ノーランが作りだす映画は、まさに計算されたデザインで、各作品の冒頭の惹き込まれるような作りの上手さや、作品全体の挑戦的なコンセプトメイク、撮影もCGに頼らないフィルム主義、サウンドデザインへのこだわり、キャスト選びのこだわりなどなど、挙げだすと時間が足りなくなります。 日本には、脚本家で映画監督の三谷幸喜さんがいますが、三谷監督の映画には出すぎ出演者ランキングというのがあるくらい、毎回出演する俳優が多い。三谷監督的に言うと、一つして欲しい演技を伝えると完璧に【感覚が合う】俳優をキャスティングしているらしく、ノーランにも同じ匂いを感じます。そのくらい、ベストなキャスティングをデザインしている。 ノーラン作品は難解なものが多いだけに、プロットの構成に甘い部分があると、映画批評家から度々指摘を受けることがあります。そんな批評家には「面白ければいいじゃないかい。あなたは、その没入感を超える作品が作れるのかい?」といつも心の中で伝えています。 コラムの冒頭で話した、80sや90s頃の映画に今だに魅せられているのは、この頃の映画作りの熱量をノーラン作品から感じているのかな、と思います。 デザインの魂は細部に宿る、と言いますが、デザイナーの熱量も必ず作品の細部に宿り、伝わると考えています。 映画もデザインもノーランも、最高。 (ゴルフも最高。)...
オフロードバイクとデザイン
こんにちは!ディレクターの秋山です。 皆さんは、昔憧れていたものはありますか? 僕は子供の頃から仮面ライダーに憧れていました。 その影響で自分もライダーになりたいと思い、学生の頃バイクに乗っていました。 その名もkawasaki KLX250es kawasakiを象徴する黄緑色のボディが特徴的なデザイン。 あまり見ない形や色だったこともあり、 「おもちゃみたい」や「安っぽい」などと酷評されることが多かったのですが、 このほどよく汚れていて、色褪せている感じが好きでした。 この型はオフロードバイクと呼ばれるもので、 その名の通りどんな道でも走れるように設計されています。 起伏の多い場所を走行する際の衝撃を吸収するサスペンションや、 運動性能を上げるために敢えて軽めに作られたボディ。 必要な性能を追求しつつ、限りなく無駄を削ぎ落とした結果、このような形になったそうです。 バイクの特性上、元々ラフに使われる事を想定されているので、 汚れているほどカッコいいということもあり、乗れば乗るほど愛着が湧いていきました。 色々あってこのバイクは降りることになってしまいましたが、 今でも道路でオフロードバイクを見かけると当時のことをよく思い出します。 またいつの日か、黄緑色のバイクに乗れる日が来ることを夢見ています。...
古代ギリシアの美
皆さんは古代ギリシアと聞いて何を思い浮かべますか? パルテノン神殿などのギリシア建築や、ヘレニズム期の彫刻、 今年パリにて開催されたスポーツの祭典、オリンピックの起源となる古代オリンピックなどでしょうか。 しかし、私が思い浮かべるものはまったく違います。 それは「筋肉」です。 古代ギリシアの彫刻や絵画に描かれる男性を思い浮かべてください。 筋骨隆々とした姿が思い浮かぶでしょう。 これらの作品は古代ギリシアの神々をモデルにしています。 弊社の社名の由来でもある神々の伝令役で商業の神様ともいわれるヘルメスもまた、 鍛え抜かれた肉体で表現されています。 古代ギリシアの神々が「ムキムキ」に描かれる理由は、超人的な能力を示すだけでなく、 鍛え上げられた肉体が美の象徴として評価されていた文化的背景にあると思います。 特に、古代オリンピックはこの文化の中心的な役割を果たしました。 競技者たちは肉体的力量を競うため、厳しいトレーニングを重ねます。 裸で行われた当時のオリンピックでは肉体美を観賞する側面もあったと考えられます。 古代ギリシアの神々に近づくため、私は今、筋トレにハマっています。 筋トレは単なる肉体的な活動にとどまらず、 精神的な強さや自己成長につながるものだと感じています。 古代ギリシアの哲学者たちが肉体と精神の調和を重視していたように、 私もトレーニングを通じて心身のバランスを保つことを大切にしています。 筋トレを通じて、自分自身の限界に挑戦し、少しずつでも理想の体に近づいていく過程は、 まさに「本物の創造」です。 「本物の創造」は弊社のフィロソフィーでもあります。 私たちがつくるパッケージデザインやグラフィックデザインにおいても、 自分の理想に近づくため身体を鍛えていくように、 日々の研鑽の積み重ねによってつくられていくものだと思います。 私はデザインも筋肉もトレーニングを怠らず、美しいと評価されるものを追求していきたいです。...
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